1級ファイナンシャル・プランニング技能士のトクトク日記

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【初心者向け】0から始めるFIREチャレンジ 基礎編⑤ 〜60歳でのFIRE達成を考える〜





マナブ
こんにちは、FP1級技能士マナブ(@and7plus)です。
 

マナブ
FP業界20年以上の僕が、最近話題のFIREについて解説します。
 

マナブ
5回目の今回は、60歳でのFIRE達成ついてお話しします。
 

マナブ
前回の記事は、こちらからどうぞ。

kusumoto-fp.hatenablog.com


 

FIREは公的年金を受け取るまでの期間で目標額が変わる

完全FIREの場合は、生活費を運用益でまかなうので、運用益以外の収入がFIREチャレンジ計画に影響することはありませんが、生活費を運用益と年金収入でまかなうセミFIREの場合、目標とするFIRE達成の年齢によって目標金額が変わります。

老齢基礎年金の場合、基本的には全ての人が20歳から60歳までの40年間加入するので、未納期間がない限り基礎年金の受取額は早期退職にあまり影響ありませんが、老齢厚生年金の場合は早期退職することにより、加入期間が短くなるので、受取額は少なくなってしまいます。

 

年金受取額の目安

加入期間

老齢厚生年金(会社員)

平均標準報酬額

20万円

30万円

40万円

50万円

60万円

10

14万円

19万円

26万円

32万円

39万円

20

26万円

39万円

52万円

65万円

79万円

30

39万円

59万円

79万円

98万円

118万円

40

52万円

79万円

105万円

131万円

157万円

(計算式)

老齢厚生年金=平均品標準報酬額(ボーナス込みの給与平均)×0.005481×加入月数

生年月日が1946年(昭和21年)42日以降の方の標準比例部分の乗率

老齢厚生年金は、加入時期は考慮せず一律に0.005481の乗率で計算

加給年金、経過的加算などは考慮していない

 

結論から言うと、早すぎるFIREは60歳までの支出が増え、65歳からの収入が減ります。

例えば、40歳でのFIRE達成を目標にすると、厚生年金加入期間は約20年です。

40歳だと給料がまだ上昇途中だと思うので、平均標準報酬額もそこまで高くありません。仮に平均標準報酬額40万だとしても、厚生年金の受取額の目安は約52万円です。

さらに、40歳で退職すると、生活費に国民年金保険料をプラスしなければなりません。

令和4年度の国民年金保険料は16,590円なので、年間約20万円の支出が増えます。

40歳で退職後、国民年金保険料を60歳まで支払い、老齢基礎年金を満額受け取る場合、65歳からの年金受取額は厚生年金に約78万円プラスされ、約130万円になります。

60歳まで退職しない場合の年金受取額は、平均標準報酬額40万だとして約183万円です。

40歳退職と60歳退職では、年金額に53万円の差が出ます。

年間53万円の収入を運用益で得ようとすると、年利4%だと投資元本が1,325万円です。

単純計算で年金受取額だけの差にはなりますが、20年早く退職すると投資元本を上乗せしなければなりません。

早期退職と年金の関係は、詳細なシミュレーションが必要です。

 

65歳までの年数で考えてみる

一般的な会社員がFIREチャレンジをする場合は、公的年金と組み合わせることを提案します。

公的年金の受給開始年齢は65歳が標準です。

65歳以降は公的年金を生活費に加えられるので、65歳までの生活費がどれくらいで、何年必要かによってFIRE目標額は大きく変わります。

40代だと25年、50代だと15年、60代だと5年程度の生活費が必要です。

 

最も実現可能性が高いのは60歳FIRE

40代、50代、60代の3つでそれぞれどのようなFIRE計画を立てるか考えてみました。

まずは、最も実現可能性の高い60代でのFIREです。

60代だともうFIREって言わないんじゃないかと思うかもしれませんが、決してそんなことはありません。

退職年齢は年々移行し、将来的には70歳や75歳まで現役世代といわれる日が来るかもしれません。

しかし、60歳以降も働き続ける場合は、退職せずに同じ会社で働き続けても、役職定年や雇用形態の変化があり、50代までとは働き方が変わる方がほとんどです。

長年の経験やスキルが活かせる環境ではなかったり、高齢再雇用を活用できないような会社なら、さっさと見切りをつけ、気力も体力も十分なうちに、やりたいことをやるステージに移行できます。

60歳でFIRE達成だと5年後には公的年金が受け取れます。60歳から65歳までの5年間の生活費を確保できれば達成できますし、達成後の5年間も資産運用を続けることで年金だけでは不足する場合にも対応できます。

 

60歳FIREのメリット

60歳まで働くメリットはた資金繰りの面では、国民年金を負担する必要もなくなりますし、運用手段としてiDeCoの活用も取り入れられます。退職金制度がある会社では、60歳だとそれなりの退職金を受け取れるはずです。

それに、運用益で暮らす期間も短いので、必要以上にリスクを負わない運用も可能になります。

資産形成の時間を長く取れるのもメリットです。40代でのFIREを目指すと資産形成できる期間が長くても20年程度ですが、60歳FIREだと場合によっては40年もあります。なので、スタート時の年齢が50代でも十分目指せるのが60歳FIREです。

 

60歳FIREのデメリット

デメリットはFIRE期間が短いことです。

60歳でFIRE達成だと、一般てきた退職者より5年早く辞めただけです。

しかし、5年と言う期間は短いようで長く、ある意味適度な期間かもしれません。

FIRE後に、やりたいことや趣味が決まっている場合は問題ありませんが、「ただ働きたくない」「嫌だ」だけで辞めてしまうと、心と身体に不調をきたす恐れがあります。

無駄にダラダラと過ごすよりは、5年ぐらいの期間の方が計画を立て有意義なFIRE生活を送れるのではないでしょうか。

 

理想は、60歳チャレンジを目指し、順調だと50代でのFIREを達成する方が、無理なくFIREチャレンジを続けられるのではないでしょうか。

 

FIREチャレンジは簡単ではありません。専門家にアドバイスをもらうこともFIREチャレンジを成功させるポイントです。

FIRE達成にかかわらず、こうしたお金の流れを知ること自体が、選択肢を広げ、豊かな人生を送れるのではないでしょうか。

人生100年時代といいますが、我慢して生きるほど人生は長くありません。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

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