1級ファイナンシャル・プランニング技能士のトクトク日記

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【初心者向け】0から始めるFIREチャレンジ 基礎編⑦ 〜年金未納問題をスッキリ解決!〜









マナブ
こんにちは、FP1級技能士マナブ(@and7plus)です。
 

マナブ
FP業界20年以上の僕が、最近話題のFIREについて解説します。
 

マナブ
7回目の今回は、年金未納問題をスッキリ解決する方法をお話しします。
 

マナブ
前回の記事は、こちらからどうぞ。

kusumoto-fp.hatenablog.com


 

年金未納期間がある人は意外とたくさんいる

会社員・公務員であれば国民年金の保険料は給与天引きされるので、基本的に未納は発生しません。では、どのようなケースで国民年金保険料の未納が発生するのでしょうか。

20歳以上の学生について、国民年金が任意加入でなくなったのは1991年、平成3年4月ですから、今、50代の人は、大学生だったときには年金保険料を納めていなかったり、50代未満の人でも転職の際に加入しなかった期間のある人など、60歳時点で加入期間が40年に達していない人も多く存在します。

私の場合も新卒で入社したセガを退職後、再就職まで期間が空いたので、ねんきんネットを確認してみると15か月の未納期間があります。

 

年金未納期間があるとどうなるか?

保険料を納付していない期間があると、保険料納付済期間や免除期間に応じて年金の受給額が計算されます。しかし、年金受給額は満額よりも少なくなります。

少なくなるだけならまだいいのですが、国民年金の場合、保険料を納付した期間と免除や猶予が認められた期間の合計が、10年以上必要で、要件を満たさないと老齢基礎年金は全く受け取れなくなります。

さらに、万一の時の遺族年金、障害年金ともに、保険料の納付要件を満たす必要があるのでもったいないですよね。

老後資金のベースとなる公的年金を増やすために、年金未納問題の解決法を紹介します。

 

年金未納の解決策

①任意加入

国民年金保険料の未納期間がある場合、納付期限から2年以内であれば後から支払うことができるので支払ってしまうと解決ですが、納付期限が過ぎている場合はどうすればいいのでしょうか?

未納期間があり、年金保険料を払っていなかった人は、60歳以降であっても任意加入することで、保険料納付済期間が480カ月になるまで任意加入して年金保険料を支払うことができます。

任意加入して年金保険料を支払うことで、65歳以降にもらえる(60歳から64歳で繰上げ受給した場合はその年齢)老齢基礎年金が増額されるので一安心です。

ここで気になるのは、払うことによってどんなメリットがあるのか、いくら支払って、いくら増額されるかですよね。令和4年度の場合、年金保険料は月額1万6590円を支払うこととなり、1カ月分を支払うと、将来もらえる年金は約1620円(年額)増えます。

1カ月で1万6590円の保険料を支払い、年額で約1620円増えるわけですから、1カ月分の元を取るには約10年かかる計算になります。なので、65歳以降に老齢基礎年金を受け取り、75歳以降も長生きする予定の人にとっては、国民年金の任意加入はお得といえます。

ちなみに支払った年金保険料は全額社会保険料控除にできます。

 

②付加年金

任意加入をしている人は、付加年金という制度も利用することができます。

付加年金とは、国民年金保険料に上乗せして月額400円の付加保険料を支払うと、支払った月数×200円の付加年金が支給されます。

例えば2年間、付加保険料の400円を支払った場合、支払った保険料の合計は24ヶ月×400円なので96,000円です。それに対して支給される付加年金は24ヶ月×200円の48,000円が支給されます。

毎年48,000円が老齢基礎年金に上乗せ支給されるので、付加年金を2年以上受け取ると支払った付加保険料以上の年金が受け取れます。

そもそも任意加入する人は、75歳よりも長生きをして、10年以上年金を受け取る予定の人だと思うので、付加年金も一緒に支払った方がお得ですね。

 

国民年金保険料の2年前納制度

お金って受け取る時はたくさん受け取りたいけど、払う時は少ない方がいいですよね。あなたは割引って好きですか? なんと国民年金保険料にも割引があるんですよ!

令和4年度の年金保険料は月額1万6590円ですが、2年分をまとめて払うことで約1ヶ月分ぐらいの割引があります。

正確には、口座振替での2年前納すると割引額は15,790円で、現金やクレジットカードでの割引額は14,540円です。

ここで気になるのが、口座振替と現金やクレジットカードでの支払いとで金額が違うことです。口座振替の方が1,250円お得ですが、クレジットカードの場合はポイントが付きます。どちらがお得か、還元率などと比べてみた方がいいですね。

 

国民年金に任意加入できる要件

年金未納問題を解決できる任意加入制度ですが、誰でも任意加入できるわけではありません。国民年金に任意加入できるのは、次の要件をすべて満たす人です。

  1. 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の人
  2. 老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない人
  3. 20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が480カ月(40年)未満の人
  4. 厚生年金保険、共済組合等に加入していない人
  5. 日本国籍がなくても永住許可をもらっている人(在留資格が医療滞在や旅行ロングステイ以外の人)

 

集中して読んでもらっている人はお気づきかもしれませんが、任意加入の要件に「厚生年金に加入していない人」という項目があります。

60歳以降、定年を迎えて働き方が変わっても、最近では会社に残って仕事を続けるのが当たり前になってきました。それに伴い、60歳以降も厚生年金に加入して保険料を納め続けることになるのですが、厚生年金に加入していると任意加入はできません。

60歳以降も働き続けて厚生年金の被保険者になっている場合はどうしたらいいのでしょうか?

 

経過的加算

60歳までは、厚生年金に加入すれば、自動的に国民年金に加入することになっていましたが、国民年金に加入できるのは20歳以上60才未満なので、60歳以降は国民年金に加入することはできません。

先程お話しした任意加入制度がありますが、厚生年金に加入している人は任意加入の対象になりません。
では、国民年金の加入期間が40年に達していない人が、厚生年金保険料を支払い続けていても、老齢基礎年金の受給額は増やすことはできないのでしょうか?
答えは、60歳以降に厚生年金に加入していれば、老齢基礎年金の受給額を満額まで近づけることができます。

どういうことかというと、厚生年金の加入期間のうち、20歳前の期間と60歳以降の期間は、国民年金の加入期間ではありませんが、実際には、この期間も加えて計算した年金額と、老齢基礎年金の受給額の差額を、経過的加算額として受け取ることができます。
つまり、60歳以降に厚生年金に加入していれば、国民年金に任意加入するのと同じ効果が得られます。
ただし、任意加入の制度と同じように、加入期間が40年に達したら、加入月数を増やすことはできません。
なお、遺族年金を受け取っている人も、基礎年金は自分の年金です。加入年数が40年に達するまでは、厚生年金保険料を支払うことで受け取れる年金額が増えていきます。

ここでも気になるのは、加入月数が増えることによってどんなメリットがあるのか、どれくらいの期間加入したら、いくら増額されるかですよね。

令和4年度の場合、60歳以降に1年働くと厚生年金加入月数は、12ヶ月分増えることになります。
定額単価の1,621円に12ヶ月を掛けると19,452円ですから、だいたい2万円くらい増えることになります。ただし、上限は480月なので自身の厚生年金加入月数を把握しておくことが重要ですね。

 

2022年10月から社会保険の適用範囲が変わります

2022年10月と2024年10月には、段階的に社会保険の適用範囲が拡大されます。

2022年10月に従業員規模が501名以上から101名以上に、雇用期間が1年以上から2ヶ月を超える範囲に変更され、2024年10月には、従業員規模が51名以上に変更されます。

この改正により、これまでは事業所規模が小さいことで社会保険に加入できなかったパート・アルバイト従業員でも、加入できるようになるケースが増えてきます。
FIREを達成しセミリタイアした人や、定年を迎えて働き方が変わった人も、働く日数や時間、毎月の収入額が加入条件を満たしている場合、勤務先の事業所規模によっては、厚生年金に加入できるようになります。

 

まとめ

知らずに年金未納期間がある人はたくさんいます。ねんきんネットやねんきん定期便で確認をしましょう。

未納期間があっても、任意加入や付加年金、経過的加算で年金を増やすことができます。

今後は、パート・アルバイト従業員でも、厚生年金に加入できるケースが増えてくるので、FIREチャレンジする場合は、公的年金にどういう形でつなげるかがカギになります。

そして、ご自身の働き方やライフプラン、ご家族の状況によっても最適な解決策は変わってきます。

 

FIREチャレンジは簡単ではありません。専門家にアドバイスをもらうこともFIREチャレンジを成功させるポイントです。

FIRE達成にかかわらず、こうしたお金の流れを知ること自体が、選択肢を広げ、豊かな人生を送れるのではないでしょうか。

人生100年時代といいますが、我慢して生きるほど人生は長くありません。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

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