超初心者向け これから資産運用を始める方へFP1級技能士が解説します ②資産運用の終わり方
資産運用は始めるよりも終わることの方が難しい
これから資産運用を始めようと思っているのに、もうやめる時の話しかと思うでしょうが、資産運用で最も大切なことは終わり方、「いつやめるか」です。
資産運用に限らず利益を出す方法としては「安い時に買って、高くなったら売る」という考え方があります。「一番安い時に買って、一番高い時に売りたい」と思うのは当然のことです。
しかし、「一番安い時」も「一番高い時」も誰にもわかりません。
そんなこと言われなくてもわかっているよ! と思うでしょうが、資産運用で失敗する方のほとんどは、誰にもわからないことを自分だけはわかっていると過信して失敗してしまいます。
失敗する人の心理と行動パターン
下の図は、ここ10年間の日経平均株価です。
資産運用において、「失敗する人の心理と行動パターン」というものがあります。
FPになる前の僕もそうでしたが、中途半端に資産運用の勉強を行い、日経平均やNYダウ、為替相場の記録をつけることだけ熱心で、自分はわかっている、人よりも詳しいと思っている人ほど、このパターンに当てはまるような気がします。
失敗する人は、値動きによって、どんな心理や行動をしてしまうのか考えてみましょう。
自分だったら、2回目の24,000円で売ってしまうよ。と思った方も多いのではないでしょうか。
しかし、実際には「安値売り」「高値掴み」などと言われるように、人は必ずしも合理的な行動をとるとは限りません。
冷静に考えてみればわかるようなことでも、感情に流されてついついやってしまった。なんてことは誰にでもあるのではないでしょうか。
資産運用はギャンブルではない
利益が出ているときは、「うまくいっているし、もっとプラスになるんじゃないか。才能あるんじゃない」と考え。
損失が出ているときには「ここが底値だから、これからプラスになる」という、根拠のない期待をしてしまいます。
こういう根拠のない、誰にもわからないことを、自分だけはわかっているという考えはギャンブルに近いものがあります。
「これだけつぎ込んだから、もうそろそろ出る頃だろう」
「調子がいいから、まだまだ勝てるはず」
「今日のラッキーナンバーは7番だから」
などと考えていては、判断を誤り利益を得ることはできません。
感情に流された行動をとっていると、なんてバカなことをしたんだ、あの時にやめればよかったのにと、利益は減少し、少しでも利益が残っていればまだいい方で、結果的にはマイナスになることが多いような気がします。
迷った時に役立つ行動ファイナンス
資産運用で失敗した方の話を聞くと、リーマンショックの時もコロナの時も「これ以上損するのは嫌だから手放した」という話を聞きます。
資産運用を始めたばかりの方は、「損している時に売る」なんて考えられないと思いますが、失敗した方の多くは「新聞やテレビは不安を煽ることしか言わないし、毎日お金が減っていって最後はなくなってしまうのではないかと、不安になって夜も眠れません。損することはわかっているけど、このままだと病気になるので1日でも早く手放してスッキリしたかったし、もう資産運用はこりごりです。」という話をされます。
なぜ、損するとわかっているのに手放してしまったのでしょうか。その理由は人間の感情にあります。
なんとなく始めて、目標もなく、増えるならいくらでも無限に増えた方がいいし、誰しもが一番利益が出たところで売りたいと思っています。
しかし、そんなことは誰にもわかりません。誰にもわからないことだと頭では理解しているのに感情が邪魔をして行動できなくなります。
感情に邪魔されず冷静な行動をするためには、どうしたらいいのでしょうか?
1つ目は、明確な目標を定め、事前にルールを決めておくことです。
いくらになったら売ろう。何年経ったらやめよう。などと金額や時間の目標を定め機械的な判断をすることで感情に流されない判断をすることができます。(とはいっても、自分で決めた目標は変更しやすいんですけどね)
しっかりしたゴールを決めておくことで、日々の値動きに一喜一憂せず、心理的負担を軽減し長く資産運用を続けることができます。
2つ目は、信頼できる専門家にアドバイスをもらうことです。
人は誰しもが、自分のやっていることを否定したくはないので、少しの失敗も甘めの評価をしてしまいます。ダメなものはダメ、いいものはいいと親身になってアドバイスしてくれる専門家の意見を参考にするのも大切です。
お金の判断に迷ったときは、損した、得したという目先の損得に惑わされて、大切なことを考える余裕が生まれません。
感情的な行動をとって判断を誤らないように、専門家にアドバイスをもらうことも長い資産運用を成功させるポイントです。
最後まで、お読みいただきありがとうございました。